【総合商社】三井物産2018年度当期純利益4,142億円、前年比は微減!

会計Topic
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前年度比、微減の4,142億円でPATは着地

それでは決算短信片手に

FY2018の成績は前年度比、△1%の4,142億円で着地したようです。

先日記載した伊藤忠が前年比+25%の5,005億円で着地したのと比較すると
低調な決算に終わったと言えるのでしょうかね。

ただ、4,000億円をかるくたたき出す、
近頃の商社の勢いは一体どうなっているのでしょうか?
そもそもそんなに稼ぐ必要はあるのでしょうか?
こういうポイントからも商社という存在は
昭和的な感覚を色濃く残したマッチョイズムごりごりの会社だなぁと思うわけです。
ただ、まぁお給料もいいので特に不満もありませんが。

今回、ざっと前年比でのマイナスとなった要因を見てみると、
税金費用の増加というのが大きな要因になっています。
法人税所得が前年比△495億円となっており、
税前及び持分法損益での増益を打ち消している形ですね。

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損益計算書上のTopic

IFRS15号の適用による収益の大幅増加

こちらも前回の伊藤忠に引き続き、
会計基準の変更による収益の大きな増加傾向が見られます。

4.8兆→6.9兆 +2.1兆(内、会計基準変更が2.1兆)の増収。

ただ、伊藤忠は
5.5兆→11.6兆の増加(内、会計基準変更が5.9兆)なんですよね。
このうち、セグメント内の大きな増加は食料の様で食料だけで3.1兆の増収。

たぶんこれの意味するところは、
収益が純額表示→総額表示になる割合が伊藤忠の方が多い
ということで、
つまり伊藤忠の方が多くの薄利多売ビジネスを実施している、
ということでしょうかね。

どいうことかというと、
IFRS15号の影響を受ける純額表示の金額が100の時、
粗利率が20%なら総額の収益は500ですが、
粗利率が10%なら総額の収益は1,000となります。
粗利率が低ければ低いほど総額の収益は大きく出ることになります。

繊維・食料等非資源分野をうたう伊藤忠が
より大きなインパクトを受けているという事でしょうね。

油価の上昇による売上総利益の増益

売上総利益+0.5兆 7.9兆→8.4兆

売上総利益は主に油価の上昇によって、エネルギーで増益の様です。
一方、金属は鉄鉱石価格下落もあり、売総マイナスのようですが、
同じく伊藤忠も金属セグメントは売総マイナスとなっています。

その他の収益・費用

固定資産評価損益

前年度比で大きく数字が出ているわけではないけど、
昨年も今年も250-270億程度の減損を入れているんですな。
短信の説明では前期に関しては、
固定資産売却益のみ記載がされていて不親切。
まぁ作り手側だったら、あんまり乗っけたくないけどね~。

雑損益

今期の大きな損失は火災みたいです。

こんなんどうしようもないけど、
担当者は気が気でないですわなぁ。。
本当、営業の方の気苦労には頭が下がります。

マルチグレイン関連

これだけ一個特殊な感じですよね。
昨年度からすでに撤退を決めている案件

これ、まさにCPEの科目でやったIFRS8に従う開示というやつですね。
IFRS8においては、
userにとってusefulな情報を開示するをことが求められており、
例えば将来収益の伸びそうなスタートアップセグメントだとか、
撤退を決めたセグメントだとかそういう分野を
pick upして開示するわけです。

今年度、引き当ての戻入をしているんだなぁ。
この辺も評価の世界なので、
財務諸表を読む側としてはこの数字が
どんな心理によって作成されているか?ということに
想像を巡らせる必要があるわけです。

持分法による投資損益

三井ってやっぱり投資の会社ですよね~、という感じ。
持分法の投資利益で2,550億。
全体で4,000億だから60%強は取込
果たしてこの2,550億の内、どれくらいが回収できているのだろうか?
(伊藤忠はCITIC調整後で2,300億、全体が5,000億だから46%程度。)

伊藤忠の持分法投資合計は1.6兆、三井は3.0兆。
減損、売却、新規購入等あるので単純な比較はできませんが、
単純に計算すると伊藤忠の方が投資効率は良さそう?

前年度の反動による税金費用増

税金は実行税率の悪化+7.2% 18.9%→26.1%による、と記載ありますね。
要因は前期の繰税負債の取り崩しの反動によるようですが、

伊藤忠も大きく税金額増えています。 
1,060億(19.7%)→1,500億(21.5%)。
ただ、伊藤忠の方が税金をsave出来ているようですね。

財政状態のTopic

安定的な状態を示すDER

伊藤忠と同様に三井のDERを見てみると、
0.78→0.86と悪化するも1倍以下を切る水準を継続。

ただ、伊藤忠は0.82ということで、
次年度は意識していく数字になるものと推測。

ここ数年の伊藤忠の住商は超えた、
三井ではなく、伊藤忠が三菱との二大商社だ的な感覚に
三井サイドも若干恐れているのでは?
と想像を巡らす今日この頃

依然、財閥の力を見せる総資産ベース

三井物産は12兆、伊藤忠10兆ということで、
資産規模は三井が大差をつけて勝利。

伊藤忠は昨年の8.6兆→10兆へと大幅に増加しており、
もちろん無暗やたらに資産を増やすことは良いとは言わないが、
総資産の規模は会社の規模を図る一定の尺度にはなるので、
来年度以降の追いかけに期待したい。

ただ、主な増加要因となっているのれん・無形資産の状況がいくらか知りたいなぁ。
まぁ事業投資をする以上は高買いリスクは避けられませんなぁ。。

キャッシュフローのTopic

前年度との大きな増減で言うと投資キャッシュフローの項目にある
持分法適用会社に対する投資の取得及び売却・回収
というのが気になる項目ですよね。
前年△1,149億→△3,771億 
と約2,600億の支出増。でかい!!

内、2300億はIHHという病院系の会社への投資
さすがに財閥は投資の桁がなかなかえぐい。

ただ持分法で投資し、回収はどうなるのか?
ここは肝ですよね。

伊藤忠商事は持分法投資関連のキャッシュフローは
あまり変わらないもののユニーファミマ関連で、
ユニーファミマの現預金が手元に入ったことで
投資に関するキャッシュフローが大幅に増えている模様。

その他のTopic

希薄化可能性ありのEPS

あと伊藤忠の短信と比べてパッと気が付いたのは
三井はEPS(一株当たり純利益)の情報に
希薄後EPSの情報が載っているという点。

こちら希薄後というのは
転換社債・ストックオプション等で既存の株数が増加し、
一株利益の株式の利益が薄まる可能性を示唆しております。

EPSはホント株主の為の判断指標という感じですよね。

ちなみに伊藤忠のような希薄可能性のない資本構造を”simple”、
三井物産のような希薄可能性のある資本構造を”complex”と呼びます。
単純なネーミング。インドカレー屋さんみたい。

会社の方針が色濃く反映される来期の前提

三井は為替に関して、豪ドル/伯レアルも開示していますね。
それだけ大きな投資をこの国々に張っているという事。

あとは鉄鉱石価格/石炭価格の為替感応度も大きく違う。
伊藤忠はtあたり15億円が、三井はtあたり21億。

これは三井がより多くの鉱区を持っているか、
より質の高い鉱区を持っているか、という話なのだと思います。
イメージとしては三井=鉄鉱石、三菱=石炭、そんなイメージですよね。

というわけで、


三井はPL的にはあまりTopicのない決算だったかと。
マルチグレインの処理が恙なく終わればFY2019はいいですよね。
来年度の予想も4,500億円という堅調(?)な予想。
というか、伊藤忠の5,000億維持は可能なのか???

あと、GW前に開示した三井と伊藤忠は偉い!
他の商社は5/9以降に!

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