Contents
王者の貫禄 当期利益は前年5.5%増の5,907億!
昨日、残されていた三菱・住商・丸紅の三社の決算公表が有りました。
それでは短信片手にどうぞ!
決算の概要は、
収益 16.1兆 前年 7.6兆
売総 2.0兆 前年 1.9兆
税後利益 5,907億 前年 5,602億
総資産 16.5兆
さすがに王者の貫禄ですよね。
当期純利益では二位の伊藤忠の5,005億と大きく差をつけ着地。
総資産の規模でも三井、伊藤忠の1.5倍程度。
さすが三菱商事といったところでしょうか。
PLのTopic
会計基準の変更により倍増した収益
前年比 +8.5兆 (7.6兆→16.1兆)
こちらもはやおなじみではございますが、
IFRS15号の導入により、収益が倍増しております。
簡単に説明すれば商品売買等に関して、
会計基準の変更に伴いリスクを取って売買している、
という整理に変えたというものです。
同様に三井・伊藤忠も会計基準の変更により、収益は増加しています。
この会計基準の変更の影響を受けていない、
豊通・双日はIFRS適用当初、
今回会計基準の縁甲の影響を受けた他社と同様な表示をすると、
収益金額が小さく見えすぎる、
といったことがIFRS導入時に懸念としてあったのでしょうかね?
真相は中の人しかわからない、想像の範囲の話ですが。。。
順調に積み上がる売上総利益
前年比+0.1兆 (1.9兆→2.0兆)
売上総利益が他の追随を許さない2兆のレベル、、、
他商社と比較してもやはり王者の貫禄を見せつけられるところ。
三井物産は売総が8,000億と三菱の40%程度の数字となっています。
収益構造が大きく違うことが見て取れます。
セグメント別ではエネルギーと金属が多きく増益しています。
・エネルギー +284億 550億→834億
・金属 +492億 4,528億→5,020億
油価や豪州石炭の価格に支えられ売総が増益となったようです。
エネルギー、金属共に資源系。
やはりここは大きく決算にインパクトを与えます。
イメージは石炭の三菱・鉄鉱石の三井が強いです。
その他の損益
固定資産減損
前年比+364億 (▲802億→▲438億)
前年度に認識した資源関連の固定資産減損の反動で、
前年比+364億となっています。
補足資料を見る限りでは、
昨年度の損失は石油関連での減損のようです。
固定資産除却・売却損益
前年比+31億 (409億 → 440億)
特に短信には詳細の記載はありませんが、
石炭の鉱区の売却などによって構成されています。
売却によって利益が出ているということは簿価以上の価値があるということですが、
より効率の良い資産への投資を睨んでいる、ということでしょうね。
補足資料より↓
2017年度:
豪州一般炭事業売却益及び売却に伴う税効果 +137億
2018年度:
豪州一般炭事業(Ulan・Clermont)売却益 +231億
豪州原料炭事業(Gregory Crinum)売却益 +64億
千代田が大きく影響した持分法投資損益
2,114億→1,373億円へと大きく減少。
こちら渦中の千代田化建の取込とチリ鉄鉱石事業の減損が大きく影響しております。
プラント業界はなかなかしんどいですね、、
三井物産系の東洋エンジニアリングも近年不調なようですし、、
(下記は昨年の記事。2019年度の公表は5/10時点でまだ。)
BSのTopic
ローソン銀行開設などによる現金の増加
前年+0.2兆、1.0兆→1.2兆円の現金同等物の増加
着々とキャッシュを積み上げていますよね。
Cash is the King.です。
みなさん結婚式場の黒字倒産には気を付けましょう。
怪しくきらめく生物資産
BSに乗る生物資産何だろう笑
生物資産が684億→707億。
なんの生物なんだ?ノルウェーの鮭か?なんなんだ?
あの生物にはそんなに価値があるのか?
腐ったら減損するのだろうか笑
その際のプレスリリースとかめっちゃ興味深い。
そして、生物は流動資産。
これ鮭じゃなくて、牛だったら固定資産なのだろうか?
そして寿命が近づいている牛は
固定資産から流動資産への振替を実施するのでしょうか?笑
その他のTopic
リスクについての記載の詳しい三菱商事
他の商社の短信とは異なりリスクについての記載も詳しいです。
下記の項目がリスクとして短信上に列挙されています。
・マクロ経済の変化のリスク
・市場リスク-商品リスク/為替リスク/株価リスク/金利リスク
・信用リスク
・カントリーリスク
・事業投資リスク
・重要な投資案件に関するリスク
・コンプライアンスに関するリスク
・自然災害等によるリスク
この決算短信は基本的に株主向けに作成される
決算の速報のようなイメージですが、
この短信にここまでリスクについて確り記載してある辺り、
王者らしい仕事です。
重要な投資案件に関するリスクとしては、
・豪州原料炭に関する投資
・チリ銅資産への投資
が挙げられております。
やはり資源は価格の影響をうけるので、
どうしてもこのあたりのリスクは避けられません。
千代田化建に対する後発事象の記載
支援策大々的に出ていますよね。今回の短信はこの辺りもトピックですよね。
ちなみに丸紅もインドネシアの訴訟案件についての後発事象を発表しています。
おわりに
三菱商事は1兆円をめざすなんていう話も
昨年に雑誌を賑わせていたと思いますが、
2019年の目標は手堅く6,000億の様子。
今後どのように利益を積上げて行くのか期待されるところです!
弁護士・公認会計士・税理士の求人・転職なら【MS-Japan】