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IFRS9とは?
IFRS9は金融資産に関する
IFRS上のルールを定める規定となります。
この規定自体はIASBというルールをつかさどる団体が
2014年度に策定した内容で、
IFRSでの報告を適用している会社は
2018年1月1日以降開始する事業年度からの
適用がもとめられています。
FY2018からやん!今年やん!
IFRS9の重要なポイント
IFRS9の重要なポイントは、
・IASBはIFRS第9号の最終版を公表した。当該最終版には、分類及び測定、予想信用損失による減損モデル及びヘッジ会計が含まれる。
https://www.eyjapan.jp/services/assurance/ifrs/issue/ifrs-developments/2014-07-04-86.html
・当該最終版が発行されたことにより、IAS第39号及びIFRS第9号の従前のすべてのバージョンは最終的に廃止されることになる。
・金融資産は、償却原価、純損益を通じて公正価値、あるいはその他の包括利益を通じて公正価値のいずれかにより測定される。これは、その金融資産を管理する企業のビジネスモデルと、その金融資産に係る契約上のキャッシュ・フローの特性との両方に基づいて決定される。
・自己の信用リスク」に係る規定を除き、金融負債の分類及び測定に関する規定は現行基準から変更されていない。
· 2018年1月1日以後開始する事業年度から適用が要求され、早期適用も認められる。
という事になりますが、
今回焦点を当てたいのは三点目の
・金融資産は、償却原価、純損益を通じて公正価値、あるいはその他の包括利益を通じて公正価値のいずれかにより測定される。これは、その金融資産を管理する企業のビジネスモデルと、その金融資産に係る契約上のキャッシュ・フローの特性との両方に基づいて決定される。
という部分。
ここが所謂FVTOCIとFVTPLと呼ばれる区分となります。
FVTOCIとFVTOPL
OCIとPLについて
まず、そもそもの話として、
OCIとPLはなんだ?
という話があります。
PLはProfit and Lossの略でして、
皆さん良くご存知の当期純利益××億円!
みたいなタイミングで騒がれるのはこっち。
一方のOCIは、
Other Comprehensive Incomeの略で
日本語的には包括損益と言います。
こちらもPLと同様に価値の増分を
表すものなのですが、
IFRS適用企業が少ないこともあり、
たぶんまだなじみもないことと
わかりにくいことが原因で個人的な感覚としては、
OCIないがしろにされがち、
というのが本音だと思います。
ちなみに↑をわかりやすく捉えると、
↓な感じ。
+ 収益:PL
- 費用:PL
=当期純利益⇒超大事!
+ぞの他の包括損益 :OCI
=当期包括損益→どうでもいい!
株式区分におけるFVTOCIとFVTPL
で、PLとOCIは何が違うの?
ということが分かったとところで、
本題の株式の分類に移ります。
FVTOCIはFair Value Through Other Comprehensive Incomeの略、
FVTPLはFair Value Through Profit Loss
という事になります。
要するに、
例えば僕の会社がZOZOの株式を持っていますー、
というときに、
前澤さんの行動なりZOZOの業績を受けて、
株価が変動するわけです。
その株価の変動も僕の会社の帳簿で
認識しないといけないのですが、
その変動分をどうやって認識するか?の違いが、
このFVTOCI/FVTPLにて変わるわけです。
僕がFVTPLとして、
株式を保有している場合
たとえばZOZO株式が持分ベースで
100価値が増分すれば、
100を「今期の利益でーす!」と言えちゃうわけです。
一方、FVTOCIとして持っていると、
株式価値が上がっても今期の利益とは言えないわけです。
FVTOCIとFVTPLの分類について
区分は原則としては、
株式の取得・売却が本業となるような形態の場合は
当該株式の区分をFVTPLとし、
そうでない場合はFVTOCIとする、というのがざっくりとしたイメージです。
複雑な金融商品を扱っている場合は分類が難しい場合もあると思いますが、
原則的な考えに基づけば区分はそこまで難しくないのかなと、思います。
例えば、
株価が安い時に株式を買って、
株価が上昇したときそれ売って利益得たろ!
的な考えで保有していたらFVTPLとなり、
投資先の株式を持つことにより
トレードメリットがあるからとか、
お付き合いでもっているとかいう場合は、
それで利益の稼得を目的としていないわけですから、
FVTOCIでの区分となる、というような具合です。
下記のKPMGの資料が非常にわかりやすいです。
財務諸表で見るFVTPL/FVTOCI
ソフトバンクグループ
ソフトバンクの子会社である
ソフトバンク・ビジョン・ファンドの保有する、
株式はすべてFVTPLで評価しているようです。
これはこの会社がファンドという形態なので、
株式の投資価値を向上させることが主目的であるので、
FVTPLという扱いなんでしょうね。
ただ、このファンドの処理はかなり特殊な処理の様で、
ソフトバンク自体もこの処理にも補足説明出してます。
これはこれで興味深いので、追って書きたいと思います。
SBIホールディングス
こちらも証券事業をやっていることから、
収益の中にはFVTPLからの収入という項目があります。
セグメントとしては
アセットマネジメント事業セグメントに属するようです。
多分こう言った金融系はIFRS適用していれば、
FVTPLの項目は少ならからず出てくるでしょうね。
商社投資銘柄
オムツからミサイルまで、
と言われるように各商社様々な分野に投資をしております。
その投資には大きく二種類あり、
関連会社投資となるものとそれ以外の投資となるものの二つです。
そして、関連会社投資でなければ基本的にFVTOCIに分類されます。
上述の通り、このFVTOCIでの減損は当期利益には影響しません。
なので、各商社の決算を見るときには、
このFVTOCIがどう動いているか?というのを確認すると、
実際に各社の決算がどのように含み損益を持っているのか?
という、PLに誤魔化されない実態を認識できるようになります。
まとめ
以上、簡単にまとめさせていただきましたが、
FVTOCIとFVTPLについて違いがよくご理解いただけたかと思います。
PLは結局はお化粧の世界!
ルールの中でどこまでお化粧をするか?というのは各社の判断によりますが、
特にIFRSを適用している会社はその公正価値により企業の状態を認識する必要があります。
公正価値の増減を見に行くにはPLだけではダメです。
どのようにOCIが動いているか?というのをしっかり見極めることで、
お化粧がどのようにされているか?というのをしっかり確認できるようにしてください。
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