【IFRS9】FVTOCIとFVTPLについて〜ACCA(SBR)の試験を経て

ACCA
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投資におけるFVTOCIとFVTPLについて、ACCAで改めて学びなおしました

ACCAは日本語で言うところの英国勅許公認会計士のことです。イギリスには幾つかの会計士協会の団体がありACCAはTier2と呼ばれる会計士協会のようですが、現在世界にその会員数を増やしている団体です。

国際会計基準(IFRS)に関して体系的な学習ができる点が個人的には非常に優れていると思っておりまして、特にACCAの受験科目の中でもSBR(Strategic Business Reporting)が学習にうってつけです。USCPAも体系的な会計の学習ができる点は非常に良いのですが、今後は日本企業においても米国会計基準よりも国際会計基準が重要視される可能性が高いのではないか?ということを考えていますので、ACCAの日本へのマーケティング次第ではUSCPAではなく、ACCAの受験者が増えるのではないか?と思います。

体系的に学んだということで、過去記事のFVTOCIとFVTPLの記事をもう少し体系的に説明できれば、と思います。

★FVTOCIとFVTPLを直感的に感じたい方は下記をどうぞ。

★ACCA英国勅許公認会計士について知りたい方は下記をどうぞ。

FVTPLとFVTOCIとは?

IFRSにおいて資産や負債の価値の変動を表現するには二つの方法があり、
・損益を経由するものFVTPL(Fair Value Through Profit and Loss)
・包括損益を経由するものFVTOCI(Fair Value Through Other Comprehensive Income)

に分けられます。

FVTPLにて価値変動を測定される資産・負債はみなさんお馴染みの純利益に関わる項目です。
2021年度の伊藤忠商事の有価証券報告書を例にとれば、FVTPLにて測定される項目はここに影響します。
しかし、すごいですね、第1四半期で2,674億円の利益。一体どこまでその利益が積み上がるのか見ものです。持株会解約しなければよかったな。。笑

一方、FVTOCIにて測定される資産の変動はこの次のページに変動が表されます。
そして「その他の包括利益合計」にその変動は表示されます。
この数字は正直あまり気にしている人はいないと思います。気にしている人がいるとすればそれはよっぽどその企業の財務諸表に興味あるか会計オタクのどちらかであることに間違いありません笑

このPLとOCIについての明確な区分というのはIFRSの憲法ともいうべき概念フレームワーク上は定められておらず、法律というべき各基準(例:IFRS9)にてその取り扱いが定められております。定義を教えて欲しいですよね。ちなみにIFRSの概念フレームワークにて定められる財務諸表上の要素は収益、費用、資産、負債、資本の五つです。

株式評価におけるFVTPLおよびFVTOCIについて

IFRSにおける株式評価について

ここから少々小難しい話になりますが、お伝えしたいことは簡単で、子会社・持分法適用会社以外の長期保有目的の投資先の評価方法はFVTOCIになるという点です。

会社の投資先は基本的に次の三種類に分類されると思います。
・子会社(持分比率50%超のイメージ)
・持分法適用会社(持分比率20%以上50%未満のイメージ)
・その他の投資(持分比率20%未満のイメージ)
IFRSでは投資先が上記の3つの区分のどれに該当するか?というのを判断する基準を設けており、投資先の区分ごとにそれぞれ評価の方法が定められています。子会社及び持分法適用会社はそれぞれIFRS10にて測定されますが、その他の投資はIFRS9に基づき、価値を評価します。

IFRS9において、金融資産は大きく二つに分類でき、それぞれ、
・負債性金融資産(investments in debt instruments)
・資本性金融資産(investments in equity)

この負債性とか資本性とかという言葉の使い方が分かりにくいのですが、発行者から見たときにどのような性質か?ということなので、原則は株式投資=資本性金融資産となります。

この資本性金融資産のうち、その区分により評価の方法は二つに分けられ、
・長期保有目的の場合はFVTOCI
・それ以外の場合はFVTPL
となります。

つまり、持分比率が20%未満の会社の株式をずっと保有しようと会社が思っている場合は、その株式はFVTOCIとして評価されます。

伊藤忠商事の有価証券報告書上のFVTPL、FVTOCI

と、下準備をしたところで、イメージをつかむべく先ほどの伊藤忠の有価証券報告書を見てみます。

FVTOCIにて評価される項目は下記の「FVTOCI金融資産」にて表示されているものと思われます。わかりやすいですね。


一方、株式評価においてFVTPLにて評価される項目については、あるとすれば、伊藤忠商事の有価証券報告書上はおそらく下記の「有価証券損益」に含まれるものと思います。ただし、この注記の6、12を見てみると「台湾FM」の持分譲渡や「ITOCHU COAL America」の支配の喪失ということのようで、FVTPLで評価される金融資産を持っていない(または額が大きくない。)ように読めます。

FVTOCIで評価される投資のリサイクリングについて

リサイクリングというのも少し難しい概念ですが、これはそれまでOCIにて評価されてきた累積評価について、その資産を手放したときに改めてPLにて評価することをリサイクリングと言います。

FVTOCIにて評価される株式投資はその株式の売却時にその含み益がPLにて認識されない、というのが非常に大きなポイントです。つまり投資先に影響を持たない銘柄をいくら持って、それで利益を出したとしてもその株式がFVTOCIで区分される限りにおいては会社の損益に全く影響しない、ということになるわけです。

この点に関しては、逆も然りで、FVTOCIにて認識される資産がいくら減損しても損益計算書上は全く痛みません。過去グラウカスレポートとして伊藤忠が空売り銘柄の対象になった際には、この点の指摘もありました。もちろん監査は問題なく為されていると思いますので、伊藤忠とグラウカスのどちらの意見が正しいかは客観的には自明ではあります。

米ファンドのグラウカス、伊藤忠に「不正会計の恐れある」とリポート 伊藤忠は「適切に処理」と反論 株価は一時10%下げ
 米国の投資ファンド、グラウカス・リサーチ・グループは27日、大手総合商社の伊藤忠商事について「平成27年3月期の最終利益を少なくとも1531億円相当水増しした…

ちなみにIFRS上でリサイクリングされるのは、再度伊藤忠を例にあげると下記の通りになります。
特に為替換算調整についてはBS上に累積している金額も大きいので、今後子会社等の売却につれて実現していくはずですので見ものですね。

まとめ

というわけで、改めて株式投資についての評価方法を見てみました。
IFRSはruleベースではなくprincipleベースの会計基準と言われており、複雑怪奇な概念が作り出されている感もありますが、悪法も法なりということで、利用者が多くなればネットワーク効果が生まれ、世間のスタンダードとなることでしょう。

もし興味があれば下記の本も手に取ってみてください。またACCAにもチャレンジしてみてください!

IFRS金融商品の減損 ―償却・引当の基本的な考え方から実務対応まで

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