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仮想通貨取引に関する税金計算
日本人の多くの方は勤め人であり、勤め人であれば給与支払いの際に源泉徴収という形で税金が給与支払い時に徴収されているので、
あまり税金を納めるという感覚はない人が多いのではないでしょうか?
株式投資にて資産運用している場合にも大手の証券会社は配当金や株式の譲渡損益に関連する税金を差し引いて処理してくれる
『特定口座』と呼ばれる便利な口座を用意してくれているので給与所得以外に収入がある場合でも税金を支払っている感覚はあんまりないと思います。
ただし、仮想通貨の取引においては、株式の譲渡のように特定口座はないため、取引で利益が出た場合は自分で確定申告をしないといけません。面倒くさいですね。
尚、当たり前ですが、税金は税の専門家に相談してください。思わぬ落とし穴に落ちてしまわないように。。。
国税庁の仮想通貨に関するFAQ
仮想通貨に関する税金のルールは国税庁のサイトに概要が記載されています。
国税庁のこういったイラストは非常に分かりやすいものが多いので、ぜひ参考にしてもらえるとよいかと思います。
こちらはH30年11月にFAQとして国税庁より公表されているものでして、
納税者で計算を簡単にできるように(=税務署でひとつひとつ計算できん!)という意図が込められております。
" 国税庁では、このように、納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備を図り、周知・広報を行うとともに、様々な機会を捉えて課税上有効な資料収集に努め、申告のなかった方も含め、課税上問題があると認められる場合には、様々な方法で是正を促すなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて積極的に取り組んでまいります。"
そしてFAQは令和2年12月に内容がupdateされています↓↓
確定申告の簡素化について
H30以降の確定申告からは、ルールが変わり納税者が簡単に申告できるような方法へと変更されました。
【従前】すべての取引について、自分自身で計算したうえで、申告をする必要がある。
【改正後】交換業者の『年間取引報告書』を利用して、簡便的な申告を行うことができる。
これただ残念ながら海外の取引所は、この年間取引報告書なるものを出してくれないので、引き続き自分で計算する必要があります。
実際自分で計算してみるとわかるのですが、この計算非常に煩雑です。
まず煩雑なのが為替計算です。あとで説明もしますが、海外取引所は外貨建で仮想通貨を表現していることが多く、日本での税金計算を行う際にはその金額を円貨に引き直す必要があります。
次に面倒くさいのが、通貨スワップです。たとえばBinanceで取引しているとBNB建ての取引があり、BNBを円貨に直す際に一体なんのレートを使用して計算すればよいのか?という点も非常に悩ましいです。
最後に面倒くさいのが、仮想通貨の送金や着金についてです。こちらすべて円貨で取引がされていればいいのですが、仮想通貨建/ドル建のように円貨での金額を算出するために二重に計算を要するケースがあります。
このように、従来の各種の取引をすべて納税者にやらせるのは難しいだろう、ということで、現在の簡素化された申告方法になっております。余談ですが、Binanceなどの海外取引所は日本からの取引について基本的には認可されていない理解ですが、国税庁のFAQは海外取引所での取引も前提に作らているようです。金融庁的にはオペレーション自体を監督するという観点から海外取引所には正式に認可を出せないけど、国税庁からすれば各人が儲けた場合に税金を納めてもらえば、出所はどこでもOKということなのでしょうかね。
仮想通貨の申告にあたって気を付けるべきポイント
国税庁のQAを参照しながら申告上の税金計算において、気を付けるべきポイントを見ていきたいと思います。
この目次を見るだけでもいろいろ見えくてくるものがありそうです。
たとえばQ5の仮想通貨の分裂についての言及やQ6のマイニングについての記載があるのは非常に興味深いですよね。
≪所得税・法人税共通関係≫
1 暗号資産を売却した場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2 暗号資産で商品を購入した場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
3 暗号資産同士の交換を行った場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
4 暗号資産の取得価額・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
5 暗号資産の分裂(分岐)により暗号資産を取得した場合・・・・・・・・ 9
6 暗号資産をマイニングにより取得した場合・・・・・・・・・・・・・・ 10
≪所得税関係≫
7 暗号資産取引による所得の総収入金額の収入すべき時期・・・・・・・・ 11
8 暗号資産取引の所得区分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
9 暗号資産の必要経費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
10 暗号資産の譲渡原価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
11 暗号資産の評価方法の届出・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
12 暗号資産の評価方法の変更手続・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
13 暗号資産の取得価額や売却価額が分からない場合・・・・・・・・・・・ 21
14 年間取引報告書を活用した暗号資産の所得金額の計算・・・・・・・・・ 22
15 年間取引報告書の記載内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
16 暗号資産を低額譲渡した場合の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
17 暗号資産取引で損失が生じた場合の取扱い・・・・・・・・・・・・・・ 28
18 暗号資産の証拠金取引・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
19 暗号資産の信用取引・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
<以下略>
それでは早速押さえておくべきポイントについてみていきたいと思います。
仮想通貨を売却した場合(Q1)
どのタイミングで利益が発生するか?という質問に皆さんは回答できますか?
そうですね、仮想通貨を売却したタイミングですね。
仮想通貨を売ったタイミングで所得が発生し、税金を納める義務が生じます。
逆に言えば、買うだけならtax freeでなんでも買えちゃえます。ジャンジャン買って、事業者をどんどん助けましょう!
ちなみに、この国税庁の各Qでは具体的な例を挙げながら、説明しているので非常にわかりやすいです。
ぜひ出展も見てみてください。
”問 次の仮想通貨取引を行った場合の所得の計算方法を教えてください。
(例)・ 3月9日 2,000,000 円で4ビットコインを購入した。
・ 5月 20 日 0.2 ビットコインを 110,000 円で売却した。
(注) 上記取引において仮想通貨の売買手数料については勘案していない。 ”
具体的な仮想通貨名も出てきているのもとても新鮮ですw
ビットコインがそれだけメジャー通貨であることの証左でしょう。
仮想通貨の所得区分 (Q8)/ 仮想通貨取引で損失が生じた場合の取扱い (Q17)
" 問 仮想通貨取引により生じた利益は、所得税法上の何所得に区分されますか。
答 仮想通貨取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得に区分され ます。 "
" 問 仮想通貨取引による所得を計算したところ、損失が生じました。
この損失を給与所得など の他の所得から差し引く(通算する)ことができますか。
答 雑所得の金額の計算上生じた損失については、給与所得など他の所得から差し引く(通算す る)ことはできません。 "
仮想通貨の所得の区分は?
所得の区分?なんのこっちゃという感じですが、所得税法上では所得の種類が分類されており、所得の種類によっては所得の通算が認められています。所得の通算は、ある所得区分で発生した損失を他の所得区分で発生した利益と相殺することを指しますが、仮想通貨は所得税法上は雑所得に該当し、残念ながら雑所得は他の所得と損益通算ができないため、仮想通貨で大損をこいても、会社の給料と相殺することができないのですトホホ。。
でも、同じ雑所得の区分である他の仮想通貨取引やFX取引とは損益通算できるので、
仮想通貨で大損をこいたら、他の草コイン取引やFX取引で大きく取り返して、
仮想通貨の損失を有効活用しましょう!(投機は自己責任で。)
仮想通貨の必要経費(Q8)
"問 仮想通貨の売却による所得を申告する場合、どのような支出が必要経費となりますか。
答 仮想通貨の売却による所得の計算上、必要経費となるものには、例えば次の費用があります。
・ 売却した仮想通貨の取得価額
・ 売却の際に支払った手数料 このほか、インターネットやスマートフォン等の回線利用料、パソコン等の購入費用などに ついても、仮想通貨の売却のために必要な支出であると認められる部分の金額に限り、必要経 費に算入することができます。 "
これはイメージつきやすいかな~、と思います。
仮想通貨の取引時に発生する手数料だけでなく、使用しているパソコンの減価償却費など仮想通貨の取引に必要な金額は経費として認められ所得を圧縮する効果があります。ただこの辺、何を経費とするかは判断の余地が多分にある領域だと思いますので、あまりアグレッシブな判断はせず、適切に所得計算されることをおすすめします。
暗号資産の譲渡原価 (Q10)
ここは所得を計算するにあたって、いくらのもの(譲渡原価)をいくら(譲渡価格)で売ったの?という計算をどのようにするか?ということを説明してます。移動平均法と総平均法という二つの計算方法のうち継続適用を前提にどちらかの手法で譲渡原価を計算します。
取引所が発行する年間取引額の金額をもとに簡便的な申告を行う場合は総平均法での計算となります。
暗号資産の取得価額や売却価額が分からない場合 (Q13)
これ正直結構あるんじゃないかな~と思っています。特に前述の海外の取引所を使用しているケースです。
このブログの読者はほぼみんなbinanceを使用していると思いますが、binanceの取引はドル建てのみならず他通貨建ての取引等も頻繁にあるので、すべての取引の詳細な金額を追って計算して正確な所得計算を行うのは非常に難しい匠の技だと思ってます。
国税庁からはそんな時どうするかの指針がでております。
” ②上記①以外の暗号資産取引(国外の暗号資産交換業者・個人間取引) 個々の暗号資産の取得価額や売却価額について、例えば次の方法で確認してください。
・ 暗号資産を購入した際に利用した銀行口座の出金状況や、暗号資産を売却した際に利用 した銀行口座の入金状況から、暗号資産の取得価 額や売却価額を確認する。
・ 暗号資産取引の履歴及び暗号資産交換業者が公表する取引相場を利用して、暗号資産の取得価額や売却価額を確認する。”
あと、もう一個えぐいルールが、、、しっかり証憑をそろえて、万一の場合に備えておきましょう。
しかし、取得価格を売却価額の5%とすることができるって、実質20バガーじゃないか、、、そんなえぐいルールにしなくてもいいのに。。
” なお、売却した暗号資産の取得価額については、売却価額の5%相当額とすることが認めら れます。 例えば、ある暗号資産を 500 万円で売却した場合において、その暗号資産の取得価額を売却 価額の5%相当額である 25 万円とすることが認められます。 ”
ジャンジャン稼いでお国のためにドシドシ納税しよう
以上、国税庁のサイトにつるされいてるFAQをもとに仮想通貨取引の計算をどのようにするか?
という点についてみてきました。国税庁のサイトはよくできているのでぜひ皆さんも見てください。
また、今回、この記事を作るにあたり、取引をしたことのある、
・コインチェック
・MXC
・バイナンス
の3社の取引データを出力したのですが、MXCで草コインで遊んでいたら大きく損をブッコいていたことに気が付きました、
捨ててもいいお金で草コインで遊んでいましたが、いざなくなると悲しいものですね。
もう当分はIOSTちゃんと暮らしていこうと思います。WIN/SFP/SHIB許すまじ。